DEPAKの裏話『第2話 年齢を重ねると見えてくること』

~アウト老エンジニアのたわごと~

わがサンテツ技研には、60歳台の年配技術者が4人ほど在籍しています。20人程度の小企業にしては多い方でしょう。職場では時折、「文字が見えないなあ」「腰が痛いよ」「指がうまく動かん」などと、なんとも情けない独り言が聞こえてきます。もちろん私もその一人。とはいえ、これもまた社会の高齢化と、年金だけでは暮らせない厳しい現実の産物だと、心の中で小さくぼやいております。

けれど高齢化も悪いことばかりではありません。むしろ技術者という仕事においては、若いころには見えなかったことに気づくきっかけになるのです。

その一例を挙げましょう。年配だろうと役職者だろうと、現場を知らねばならない――そんな理由で、私は自社解凍設備の設置工事にしばしば同行してきました。かつての旧型解凍機はというと、大型で重たいファンを天井に取り付ける方式。さらに風のムラをなくすため、数十枚ものフィンを一本一本調整する必要がありました。若手メンバーは「よいしょ」と軽々とファンを持ち上げ、握力全開でフィンをどんどん調整していきます。その姿は頼もしいものですが、我々年配組には到底まねできません。

ファンを持ち上げる筋力はとうに衰え、脚立に登れば「もし今ここで足を滑らせたら病院送りだな」と冷や汗が流れます。フィンの調整に至っては、2~3枚で指先がしびれて戦線離脱。結果、若手の作業を足手まといにするばかりで、肩身の狭いことこの上ない。屈辱と情けなさに包まれる現場体験ですが、そのとき年配技術者のプライドがふとささやくのです――「いや待て、こんな無理を強いる設計そのものが悪いのではないか」と。

この“居直りにも似た気づき”から誕生したのが、大型解凍機 SCシリーズ です。

  • 大型ファンを2基の小型ファンに分割し、軽量化して壁掛けに変更
  • 独自設計の回転方向で風流を均一化し、今まで以上にムラのない解凍を実現
  • 数十枚の調整フィンはすべて固定化、握力勝負の作業から解放

こうして「老いの不便さ」が逆に新しい発想を生み出し、製品の進化につながったのです。

年を取れば体は衰えます。しかしその衰えこそが、時に新しい気づきと技術革新の源泉になります。今日もサンテツ技研の年配技術者たちは、やせがまんとプライドを胸に、ユーモラスに、そして少し誇らしげに仕事を続けているのです。

関連ページ:https://www.depak.jp/products/thawing-freshness/sc

~アウト老エンジニアのたわごと~

こんにちは。サンテツ技研の“アウト老エンジニア”です。
みうらじゅんさんのファンでもある私は、還暦をとうに過ぎた今、“はみ出し老人”を目指して、日夜(?)技術開発と取っ組み合っています。
思いどおりになんていかない。でも、それがまた楽しいんです。
そんな“迷走気味の開発ライフ”の裏側を、ちょっとだけお見せしたいと思います。

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