「民主主義は多数決」――まあ、学校の掃除当番を決めるときには便利ですが、イノベーションの現場ではほとんど役に立ちません。
なぜなら、多数決で決まったアイデアなんて、だいたい「すでにみんな知っていること」だからです。革新はむしろ「え、それ大丈夫?」「やめとけよ…」と全員から心配される方向にしか生まれないのです。
アウト老こと私も、そんな“やめとけ案件”に立ち会ったことがあります。前回ご紹介した推しメン「遠心ファン」を使って、冷蔵庫の片隅で解凍できないかと考えたときです。
遠心ファンは普通のファンと違って、吸い込んだ風を90度クイッと曲げて吐き出す特徴があります。ならば、この特徴を使って、風をぐるぐる循環させて解凍に使えないか?
しかもそのまま低温保存に移行できれば、まさに「解凍と冷蔵の二刀流」。大谷翔平ばりの活躍が期待できるわけです。私は「これはホームラン確定だ!」と盛り上がっていました。
ところが当時の社内のベテランからは即・反対。「冷蔵庫の中に電源なんてないぞ」「掃除のとき水がかかるだろ」「そんな前例ないよ」――と三連打。
普通ならここでノックアウトですが、私は逆にニンマリ。なぜならベテランが反対するということは、まだ誰もやっていない証拠。つまりブルーオーシャン! もしかしたら“しめしめ案件”かもしれないとワクワクしたのです。
さらに社長が味方についてくれました。「いいじゃないか、やろう!」と即断即決。しかも製品のネーミングまで考えてくれるという熱の入りよう。トップがここまでノリノリだと、もはや止まりません。
チームは「どうすれば安全に?」「どうすれば均一に風を回せる?」と頭を抱えながらも試行錯誤を重ね、約2年かけてついに完成しました。
その名も SCM(Smart Cycle Module)。最大200kgの食材を depakフィールド(交流電場) の中で解凍できるスグレモノです。しかも従来機と同じくドリップを抑えて鮮度をキープ。
小型で冷蔵庫の片隅に置けるから、少量ずつ解凍したい食品工場様から「これ、待ってました!」と拍手喝采をいただいております。
ここで声を大にして言いたいのは――イノベーションとは「全員が賛成するアイデア」からは生まれないということ。むしろ「そんなバカな」と笑われたアイデアこそ、未来のヒット商品に化ける可能性を秘めているのです。
㈱デパックは今日も「みんなが反対すること=やる価値あり!」の精神で、ちょっと変わった挑戦を続けています。
次に生まれるのは、いったいどんな“やめとけ案件”? どうぞお楽しみに。
関連ページ:https://www.depak.jp/products/thawing-freshness/scm-cube

~アウト老エンジニアのたわごと~
こんにちは。株式会社デパックの“アウト老エンジニア”です。
みうらじゅんさんのファンでもある私は、還暦をとうに過ぎた今、“はみ出し老人”を目指して、日夜(?)技術開発と取っ組み合っています。
思いどおりになんていかない。でも、それがまた楽しいんです。
そんな“迷走気味の開発ライフ”の裏側を、ちょっとだけお見せしたいと思います。